ロベール・ブレッソン『やさしい女』

結構前に観た。
面白かった、というかしっくり来たというか、好きなタイプだった。コミュニケーションの詳細を地味に映し、それが噛み合わずも、ただなんとなく進み、いずれ取り返しのつかない結果に着地する、そういうのにヒューマンを感じて、あら良いですねえと思う。
ミヒャエルハネケとかがモロにそれなのだが、じわじわした日常の中で突然キレたり泣いたり首切ったり激しい場面を上手い役者が演じるハネケと
素人が大人しく動き棒読みするブレッソンとは演出が逆で、ブレッソンのほうが評価高いと聞くと、それは映画好きな人の間ではそうだろうな。


そしてこれを見てからだいぶ後の一昨日『スリ』を観た。相変わらず抑揚のない動き&主人公の語りで話が進み、もう台詞なのか語り部分なのかよく分からない。
なんか『罪と罰』みたいなかったるい話だなと思ってたら実際それが下敷きだった。*1
しかし着地するところというかジャンヌの存在が都合良すぎてうざいし、そもそもスリと殺人じゃ全然違うじゃん、とか、主人公の理論が何の説得力ももたないし何の引っ掛かりにもならん!とか、
大して重要でなさそうな脚本に対する突っ込みという俗っぽい感想になってしまうが、なぜかつまらないとは思わなくて、めちゃくちゃ眠かったけど観たいという気持ちで最後まで保てた。
何が面白いと思うのかいまいち分からないけど、単に映像が良いにしてもどういいのかとかもうちょっと説得力のある感想を書くためにもう少しいろんなブレッソンを観たい。

*1:ドストエフスキ一冊も読んだことないけどなんで知ってるのだっけと思ったら罪と罰はなぜか大島弓子の漫画で読んだ